教師は地域コミュニティに入っていこう

 興味深い話を聞いた。ある工場の総務課長Aさんは近隣の主婦層を中心に募集をかけているパートの採用で悩んでいた。何度も募集をかけているがいっこうに人が集まらないのだ。そこで調査に乗り出しわかったのは、働きたくとも、子どもを預ける施設がないということだった。さっそくAさんは上司の了解を取り付け、問題解決に向けて動いた。周辺の企業に働きかけて共同利用できる保育施設を立ち上げるべく奔走し、関係各署や住民の協力も得て念願の保育所をスタートさせた。今では地域になくてはならない“子ども広場”となるほど地域の人たちに支持され喜ばれているとのことだ。
    
 いま、課題や問題が複雑・多発化する社会の中で、子どもたちを取り巻く環境は激変し、リスク要因も拡大している。教師は学校の中の活動にとどまらず、もっと地域コミュニティの中に積極的に入っていく必要がある。上記のケースで言えば、Aさんは問題解決にあたり、一企業の枠を超え、他企業とも連携し、関係各署や周辺住民の協力も取りつけ、粘り強く行動したからこそ保育所実現にこぎつけたのだ。つまり、利益が相反する立場にあるように見えても、目指すゴールのすり合わせができれば、解決に向かって、知恵・ノウハウ・コミュニティネットワーク等あらゆる力を結集させ、実現にこぎつけることができる。これが協働ということだ。 
大きく変質していく社会には、その影響をまともに受ける地域があり、その地域の中で子どもたちは存在している。だから、教師は各地域で大切にしている行事や活動に積極的に参画し、子どもを取り巻く現状を把握し、何かあったときには保護者・地域・学校が協働体制を取るための絆づくりを心掛けて頂きたい。
そのなかで培ったネットワークを活用し、総合的な学習のゲストティーチャーとして地域住民を招いたり、地域のなかではコミュニティの一員として学校を指導してもらうことで、開かれた学校づくりにもつながる。
コミュニケーション飛び交う楽しい地域は、子どもたちにとってもすこやかな環境なのだ。それを創り上げていく役割の一旦を教師も担う時代であろう。